①亀頭部が痛い・痒い・腫れる


男の子の陰茎先端が赤く腫れ、痛い・痒いと云った症状が出る事があります。多くは包茎が背景にあり、包皮(包茎の部分の皮)と亀頭の間に炎症が生じる「亀頭包皮炎」と云う状態です。比較的短期の軟膏処置等で改善する事が多いのですが、中には異なる病気が生じている事もありますので、症状が強い場合は早目に受診される事をお勧めします。

②包茎の相談


男の子は生まれた時はほぼ全員が包茎です。成人男性の場合も6~8割は包茎であると言われています(大規模統計結果は実際にはありません)。ここで「包茎とは何か?」ですが、「普段から亀頭が露出していない状態」と考えて頂ければ大まかには間違いないとお考えください。では「正常」と「包茎」、更に包茎の中の「仮性包茎」「真性包茎」「嵌頓(カントン)包茎」の違いは何処にあるのか、少々乱暴ですが判り易く解説しましょう。例えば、タートルネックのセーターを思い浮かべて下さい。自分の大きさのセーターを着れば、普段から顔は出ていますね?ここで多少襟元を顔に近づけても、顎や鼻近くまで一時的に隠せても、暫くすると顔全体が露出します。この状態を「正常」だとお考えください。さて、幼稚園児位のお子さんがお父さんのセーターを着たとしましょう。タートルネックですとぶかぶかですから顔が出ませんね?しかし襟元をぐいぐい首に捲れば顔は出せますが、暫くすると再び顔が隠れて仕舞います。この状態が「仮性包茎」だとお考えください。逆に、お父さんがお子さんのセーターを着ようとしたとしましょう。今度は窮屈で、顔を出す事は先ず出来ませんね?この状態が「真性包茎」だとお考えください。更に、そんな小さなセーターで、無理矢理顔を出そうとした時に、たまたま顔が出たとしましょう。襟元が狭くて、首が締まって大変な事に成りますね?息が出来ない上に、顎が引っ掛かって中々元に戻らず、下手をすると死んでしまうかも知れません。この危険な状態が「嵌頓(カントン)包茎」だとお考えください。成人の場合ですと、この「真性包茎」は実は1~2%程度とも言われており、日本人の場合は殆どが「仮性包茎」で、哺乳類の殆どは実は「仮性包茎」であり、寧ろ此方が「正常である」と云う考え方も出来ます。実際にお子さんがどの状態にあるのかにより、対策は異なりますし、真性包茎の場合に無理に剥こうとすると、前述の嵌頓包茎に陥る危険もあります。また、仮性・真性を問わず、上述の「亀頭包皮炎」を起こす事がお子さんの場合には多いですから、ご心配がお有りでしたら、ご遠慮なくご相談下さい。

③精巣(睾丸)が触れない・陰嚢が腫れている


男性の精巣は身体の外、陰嚢の中にありますが、女性の卵巣はお腹の中にありますが、この違いは不思議に思われた事はありませんか?また、カエルやトカゲ、ヘビはどちらもお腹の中にありますね?実は男性の精巣が身体の外にあるのは哺乳類だけであり、これは温度の変化から精巣を守る為であると云われています。実際、寒い時にはギュッと縮み上がって身体にくっ付き、逆に暑い時にはだらりと下がって身体から遠ざかっています。男性の精巣も、胎生期、即ちお母さんのお腹の中に居る時は、女性の卵巣と同様、腎臓の直ぐ下に存在していて、生まれてくる時までに身体の外に出てくるのです。生まれた時に、まだ陰嚢の中に精巣が到達していない「停留精巣」と成るのは、全体の3~5%程度と言われています(低出生体重児では20%近いと云う報告があります)。しかし、生後1年程度でその頻度は1~1.5%程度に低下、つまり、多くは生まれて1年以内に自然下降して正常な位置に成ります。前述の通り、精巣が陰嚢の中に在るのは温度変化から精巣を守るためと考えられていて、実際停留精巣であると、将来不妊症に成ったり、精巣の「がん」に成る頻度も高いと云われています(最近の報告では実際にがんに成るのは腹腔内の停留精巣でせいぜい倍の頻度、と云う報告もあります)。1歳を過ぎて陰嚢内に精巣を触れない場合には、3歳以前に手術を行って正常な位置に「固定」する必要性を考慮しますので、その場合にはご相談下さい。
また、前述の通り、精巣は腎臓の直ぐ下から、血管や神経も全部引き摺って陰嚢の中に降りて来ますので、生まれて暫くはその「通り道」が残っています。ここにお腹の中の水(腹水)が通って、陰嚢が腫れてくるのが「(交通性)陰嚢水腫」です。「腫れているから」と安易に針を刺して水を抜く処置を行うと、腹腔内に交通性がある為に腹膜炎を起こす事もあり、推奨されていません(お年寄りのなる陰嚢水腫とはここが異なります)。腫れがあまりにも強い時には手術を考慮する必要がありますので、ご心配な際にはご相談下さい。

④突然「おちんちんが痛い」


男の子が突然「おちんちんが痛い」と泣き出した時、その「おちんちん」が何処を指しているのか、正確に聞き出す必要があります。上述の亀頭包皮炎(陰茎の先端、包皮や亀頭が赤く腫れて痛がっている時)や尿道炎(子供では稀ですが、排尿のとき“だけ”痛くて何度もトイレに行く)場合は慌てる必要はありませんが早目に受診させて頂ければと思います。問題は精巣(睾丸)が突然激烈な痛みに襲われる場合で、泌尿器科としては「(小児)急性陰嚢症」と呼ばれる状態です。一番恐ろしいのは、精巣が「捻じれる」事によって生じる「精巣捻転」で、この場合は発症から8時間以内に整復が出来ないと、精巣その物がダメに成って仕舞う可能性があるのです。従って、発症からせいぜい4時間以内に緊急手術が出来る体制の医療機関に受診している必要があります。適切な整復が出来ないと、捻転を起こした精巣のみならず、もう一つの精巣も摘出する必要が出る場合がありますので、可及的速やかに泌尿器科を受診して下さい。また、小さな赤ちゃんの場合は「何処が痛い」のか正確には伝えられません。精巣捻転のみならず、腸重積や腸捻転の可能性もありますので、突然火の付いたように泣き叫び、全く泣きやまない時には緊急手術の出来る医療機関に速やかに受診する事が必要な場合があります。

⑤おねしょが治らない


生まれたばかりの赤ちゃんは、膀胱が小さい上に常に尿を作り、また、トイレの概念も無いのでしょっちゅう排尿をしています。これが2~3歳頃に成ってくると、膀胱の容量が増える事、睡眠と覚醒のリズムが作られ始めて夜間の尿量が減少する事、また、オムツでの排尿が気持ち悪いのでトイレで排尿しようとし始める事、等により、徐々におねしょをしなくなります。「時々おねしょをする」程度の比率は、5~6歳で約20%、小学校低学年では約10%、10歳児にも約5%と云う報告があります。自然に頻度が減っているようであれば、それ程問題には成りませんが、連日のように続く場合や、「お泊り」の時等を考えると、対応を考える必要がある場合がありますし、中には他の病気が隠れている事もあります。一つの重要なポイントは、5~6歳以降に成っても、昼間でも毎回のように失禁があり、時に便も漏れる場合で、そうしたお子さんは早目に医療機関の受診が必要だとお考え下さい。また、「おねしょをしそうな時間に起こしてトイレに行かせる」、いわゆる「夜尿起こし」は現在は推奨されておらず、寧ろ夜尿を悪化させると言われています。基本的姿勢は「焦らず、怒らず、起こさず」の方針が重要ですが、心配される事も多いと思います。かなりの頻度で親御さんの「不安」が子供の夜尿に悪影響を与えている事もあるようで、ご相談されただけで改善するお子さんもいらっしゃいます。どうぞご安心してご相談下さい。